「レース鳩０７７７（アラシ）」～熱き鳩レースの世界

９０年代のコミックスならモノにもよるけど大抵は古本屋で入手出来る。
しかし８０年代のコミックスとなると人気作品でもなければかなり入手が難しくなる。
ならば、７０年代の作品だったら？
これはもう、入手がかなり困難であると言わざるを得ないでしょう。
文庫などになって近年リリースされていれば問題ないのですが、そうでないなら知らない人は一生知らないままって事も十分ありえる訳です。

という事で、今回は「レース鳩０７７７」です。
何故急にこの作品を引っ張り出したかと言うと、今日の昼間に弟と話していて盛り上がったからです（笑）。

少年チャンピオンコミックス全１４巻。
（復刊ドットコムで全７巻として出た事があるらしい。）
タイトルの「０７７７」は「アラシ」と読みます。
作者の飯森広一氏は実は今年亡くなってしまいました。
かつてはジャンプなどでも連載をしていた作者ですが、代表作といえばこの「レース鳩０７７７」で、当時はチャンピオンが全盛期だった記憶があります。
「レース鳩」という聞きなれないキーワードに子供の頃の自分は衝撃を受け、以後ずっとコミックスを買い続けました。
（だから１巻以外は全部初版で所有。）

という事でこの熱いドラマの一端を今回は語りたいと思います。

ウィキペディア：レース鳩０７７７

主人公・森山次郎が学校から帰る途中、突然鳩が空から落ちてくる。
その鳩には足に輪がついており、「０６６６」という番号が打ってあった。
それこそレース鳩の証！
昼間から花札をする大人が「アラシ」と呼ぶ。
その「アラシ」は明らかに何かの病気になっており、今にも死にそうになっていた。

次郎は早速専門の人に聞いてみた。
するとジフテリアなのだという。
ここから彼の苦労が始まる。
動物と親密に接するという事はどういう事か？
この作品は、彼の目を通して生き物の愛し方というものを教えてくれていた様な気がします。

アラシの正体は？
実は鳩レースの世界で数々の優勝記録を持つグレート・ピジョンだったのだ！
持ち主の黒田老人は病気を治してくれたお礼として、自分の持っている鳩から好きなものをあげる約束をする。

５００羽もいるという黒田鳩舎。
しかし、色々見ても２００万もするというグレートが一番いいのは間違いがなかった。
そこで次郎はグレートの子供をもらえないかと提案する。
卵が２つ生まれているので片方をもらえないかという訳だ。
そして黒田氏は断腸の思いでその要望を受け入れたのだ！

いくらなんでも生まれるのが遅い。
これは死産？
そう思われた卵だったが、予定より２日遅れでついに！

本編の主人公・アラシの誕生である！！

レース鳩はまず登録しなければならない。
専門の用紙に書き込み、足環をもらうのだが…そのナンバーが「０７７７」！
偶然と言えば偶然。
「０６６６」の子供が「０７７７」というのは出来すぎている。
しかし、これで正式に０７７７（アラシ）という名前が確定したのだ！

ここからアラシの成長の過程が描かれるのだが、それはちょっと割愛。
苦労する事でアラシと次郎のつながりはより強固になって行くのです。

そしてついに空を自由に飛べるまでになりました。
少しづつ訓練を重ね、いよいよ夜間訓練をするまでになったアラシ。
そこへ謎の影が現れる！！

それこそ父０６６６（グレート）と兄０９７６（マグナム）の姿だった！！
互いに似ている事は感じても、兄弟などとは知らない両者。
しかし、誇り高きグレートの血は二人を高いステージへ押し上げて行く！！

そしていよいよアラシもレースに初参加。
まずは１００キロレースだ。
レースの仕組みとしては、まず参加者全員で専用のピジョンタイマーをセット。
鳩が自分の鳩舎に帰って来たら足環につけた番号の入ったゴム輪をタイマーに入れてハンドルを回す。
これにより時間が決まり、スタート地点から家までの正確な距離を計算して最終的な順位が決まるという仕掛けなのだ。

そのタイマーだが、次郎は店の主人からピジョンタイマーを手に入れる。
しかし、それはＳＴＢスペシャルと呼ばれる誰もが欲しがる貴重なタイマーだったのだ！
さすがに受け取れないと思った次郎だったが、店の主人が亡くなっている事を知るのだった…。

さて、こうしてレースが始まると、いよいよライバルたちが出て来る訳です。

まずは０００１（トップ）。
短距離では圧倒的な成績を誇る。
だが、硬い筋肉の為に長距離には向かないという性質を持つ。
（勉強ばかりしていた睦月君だったが、鳩を通して人間関係を築き上げていく様になった。）

若い世代を守る為？
グレートはアラシとマグナムを導いて死んだ。

ここに、新たな世代による戦いが始まったのである！

黒い弾丸１７２０（イナズマ）。
稲妻の様な羽音が特徴。
夜目が利かない為、２日にまたがるレースでは不利。

９９９９（マックス）。
アメリカのペパーマン系の鳩の為巨体。
レースでは存在感がある。

１８６５（デリンジャー）。
体は小さいが気が荒い。
名前は１８６５年にリンカーンを暗殺した拳銃デリンジャーから。

０２９６（オフクロ）。
方向感覚に優れた鳩。
飼い主が日本中を旅行している為、他の鳩が知らないルートを持っている。

レースの敵はライバルの鳩だけではない。
いついかなる時でも生死が隣り合わせにあるのだ。
日が落ちてあたりが暗くなった。
しかし、道路だけは明るかった。
道路に沿って飛べば夜でも飛べる。
だが、その判断が多くの鳩の命を奪う！！

０１０８（ビャクヤ）。
鳩痘にかかり生死をさまよった事で顔に大きな歪みが残った。
夜目がかなり利き、何かと喧嘩っ早い。

１００キロレース、２００キロレースと段々と距離を伸ばし、ついに８００キロレースが開催。
スタート地点は北海道長万部の為、東京に向うには津軽海峡を越えないといけない。
アラシにとっても初の海越えレースとなるのだが、陸続きではありえないアクシデントも起こる。
墜落＝死という危険な旅なのだ！

真紅の鳩９０７１（クレナイ）。
レース用とは異なる観賞用の鳩の血を受け継ぐ為その体は赤い。
持ち主が女性という事で、次郎もソワソワして…？（笑）

７８０６（ナパーム）。
持ち主は外国人のジャック。
オドオドしているが、レースになると豹変してその実力を発揮する。

ショットガングループの７羽。
それぞれバレット１号、２号～７号と呼ばれる。
半数がライバルの攻撃に周り、残りがゴールを目指すというスタイルを持つ。
その卑怯な戦法の為か、最後は悲惨な事になるのだが…。

最後のレースとして１１００キロレースが開催！
スタート地点は北海道稚内。
鳩たちはこれからどれだけの距離を飛ばされるのかは知るはずもない。
だが、車での移動感覚で、これからとんでもない距離のレースが始まる事だけは感じているのだ！
長い移動時間で鳩たちのストレスはマックスに。
一部でケンカも始まるのだが、優秀な鳩はじっと耐える。
体力を温存しなければ死ぬ！
それはビャクヤとて同じなのだ！！

そしてついに１１００キロの超長距離レースがスタート！
だがここで大問題が発生する。
何と、台風が進路を変えて直撃して来たのだ！！

かくして、生き残りを賭けた壮絶なるラストレースが始まる！！

生か死か！？
最後の最後で出会ったのは血を分けた兄弟だった！！

凄絶なる死闘の末に次郎が見たものは…？

とにかく、ラストシーンは泣ける！
子供の頃に読んで感動した作品ですが、今読んでも泣けます。
何故こんなスゴイ作品が書店で売ってないんでしょうか？
何とか再販とか文庫化とかしてくれないですかねえ？

【関連リンク】
◎A World of Good Forest
◎社団法人日本鳩レース協会
◎社団法人日本伝書鳩協会
◎電子書籍
◎復刊ドットコム

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