今回のTVアニメ化により急に注目される事になった竹宮恵子作品ですが、そもそも作者自身は自身のSFについてどう思っているのでしょうか?考えてみるに少女マンガ家がSFを描くというのも、どちらかと言えば異例の感じです。
実は1982年に竹宮恵子はSF短編集
「遥かなり夢のかなた」を出しているのですが、この本の巻末に当時の作者自身によるコメントが掲載されているのです。
82年というと、「地球へ」「アンドロメダストーリーズ」が終わった頃であり、一息ついた感じの頃です。
まだ「私を月に連れてって!」は描かれていない時代です。あとがきの中心は「終笛(オルフェ)シリーズ」についてでしたが、自身のSF作品について当時はこう総括しています。
「遥かなり夢のかなた」あとがきより抜粋「愛する主人公は少しも作者の中で古びず、異空間を漂う終笛(オルフェ)は、私にとっても超越者で、作者の望む望まずにかかわらず、現実にもどるとも永久に反世界を旅するともつかずに、私の心の中を漂っている。
終笛(オルフェ)は私の中の新しいタイプの少年として、もう少し性格をつかみたいのだが、このSFともファンタジィともつかぬ路線で、しばらく描くしかない。
『地球へ…』という、長編SFを描いて以来、私=ハードSFと誤解する読者が多く(本当は内容的には少しもハードでないと思うのだが)同様なSFを描いてほしいとの要望が強い。
が、今となって読み返すと、実力以上の全力投球が全編続いていて、正直言って少々疲れる。
あの消耗感というのは、そう何年も持続できる類のものではない。
SFそのものはヘタの横好き、これからもちょくちょく描きたい、と思っているけれども…。」やはり「
地球へ…」の連載は、相当大変だった様です。
また村上和彦氏による4ページに渡る解説も掲載されていますので、その一部を紹介します。
「ひょっとしたら、竹宮恵子は少女マンガ家ではないのではないだろうか。『地球へ…』や『アンドロメダストーリー』を少年誌に発表したからというのではなく、かつて少年まんがと呼ばれたものは、現在の少年まんがよりも、むしろ竹宮恵子のまんがの方に近かったような気がする。
ブームに満たされているうちに、まんがも劇画も混沌としてしまった現在のまんが界にあって、小学生にも、女の子にも男の子にも受け入れられる、理想の少年像を描き続けている竹宮恵子には、児童まんが家という呼称がふさわしいのではないだろうか。
死語に近づきつつある『児童まんが』という言葉を、竹宮恵子ならフレッシュに再生してくれそうな気がするのである。」竹宮作品が男性にも受け入れられる事について、この様にまとめていました。
さて、この
「遥かなり夢のかなた」では、当時の竹宮恵子のエッセンスの全てが詰まっていました。

表題作「遥かなり夢のかなた」超能力者・終笛(オルフェ)は飛行機事故で異世界に飛ばされる。
そこは昆虫の様な生き物の世界だった。

有名タイトル「集まる日。」超能力者・唯惟(ユウイ)は常に監視されている?
日々怯えながら、普通の人を演じる少年に終笛は…。

「オルフェの遺言」飛行機事故で消失した終笛を唯惟たちは何とか引き戻そうとする。
だが、そこに現れたのは…。

「夢見るマーズポート」77年に描かれた読みきりだが、80年代になって続きが描かれた。
それが「私を月に連れてって!」で、当時は続きが登場した事にビックリした。

光瀬龍が原作を手がけた「決闘2108年」ルーレットを回して、赤い線に止まったらハッチが開き宇宙に放り出されるという、デスゲームを描いた短編。
映像化すると面白いかも。

「ジルベスターの星から」竹宮恵子を語る上ではずすことが出来ない、ファーストSF作品。
当時は、そのファンタジィな雰囲気に酔った。
これ以外にも、「西暦2763年の童話」「真夏の夜の夢」「夜は沈黙の時」が収録されていました。この本自体は今では何々見かける事はないと思いますが、現在出ているものはさらにSF作品を追加されており、短編集のシリーズとして発売していますので、もし機会があれば見て欲しいですね。
竹宮恵子DVD BOX竹宮惠子 光瀬龍 井上純一
22日にビデオショップで「時をかける少女」のDVDを受け取りに行った際、問題の竹宮恵子DVD−BOXのチラシをもらって来ました。収録されるのは「劇場版・
地球へ…」「劇場版・夏への扉」「TVスペシャル・アンドロメダストーリーズ」 の3作品。
あれ?「OVA風と木の詩」は?(苦笑)まあ、アレは毛色が弱冠違うからしょうがないかも知れません。
自分自身、「地球へ…」「夏への扉」のLDは持ってますが、「アンドロメダストーリーズ」は当時LD化されず、自分も当時レンタルで借りたビデオをダビングしたものを持っているだけです。それだけに今回のDVD−BOXは絶対ゲットする予定です。竹宮恵子DVD BOX公式HP