島本和彦の遺伝子・藤原昌幸８５年のデビュー作「我が名は雷だー！！」

ここのところ「瞳のカトブレパス」の記事を書いていて、その度に「パクリ」か「そうでない」かとコメントを頂いているのですが、アシスタントを経験した作家がその師匠から影響を受けるのはままある事。
そこで、今回紹介するのは島本和彦先生のアシだった藤原（現：富士原）昌幸先生です。

このデビュー作は少年サンデー８５年１０月増刊号に掲載されているのですが…、実は氏の作品は当時サンデー系でよく描かれていた様なのですが、コミックスとして出ていなかった為、現在そのほとんどが読む事が出来ないみたいなのです。
（同人誌等で出ているのでしたら分かりませんが。）

【当時のコメント】
駆け出しマンガ家・藤原昌幸は、苦節三年目でデビューする事ができた。だが、そのプロセスは二度と見ることができない。と、ゆーわけで、せめてこれからを応援してくださいっ！返事は必ず書きますので、ぜひ手紙をくださいっ！！うおお願いしますっっっ！！！

かなりネタの入った文章です（笑）。

当時はまだ島本先生も「風の戦士ダン」＆「炎の転校生」を連載している頃で、そこのアシである藤原氏の作品も初期島本テイストに溢れた作風になっていました。
当方は色々と藤原作品のストックを持っているのですが、まずはデビュー作である「我が名は雷だー！！」を簡単に紹介します。

私立鳥星学園。
山奥の学校である為、生徒のほとんどがバイク通学をしている。
しかし、そんな通学風景に異論を唱える者が登場する！

のっけから、島本和彦「炎の転校生」を思わせる学校名です。
オマージュかな？（笑）

主人公・夕凪雷とヒロイン・若葉はおとなりさん同士。
ふたりはサイドカーで通学！
何かいいなあ、コレ（笑）。

そこへ問題の新校長が登場する！

バイク通学禁止を言い渡す新校長！
ちなみにオーラは「うしろのヤツ」が出していた様子。

校長の横暴に反対する生徒たち。
ヒロインの若葉も強く反対。
まわりの野次で「風呂場で転んで足を折った」事が発覚。
その為、隣の夕凪君に送ってもらっているそうです。
「いーぞ、もっと言ってやれ風呂こけ娘っ！！」

校長は、連れてきた浦風丁との勝負で勝てば認めると言うのだが…。

敵は殺人者としてサーキットを追われ、“三ない運動”推進者の傭兵として高校生ライダーを次々と葬りさっている男！
その相手として、夕凪雷が手を上げる！

スタートは明朝６時だ！！

校長のバイク嫌いの理由とは？
実はかなり個人的な恨みからなのであった。
初期島本テイストたっぷりのシーンですね。

若葉の入っているお風呂の側で告白する雷。

堂々と覗きをする雷なのだが、「男が死地にむかう時は覗かせてくれるのがふつーじゃないのか？」と不満げなのであった（苦笑）。

そしてついにレースはスタート！
しかし、いきなり浦風の仲間たちが乱入して来る！！

浦風はレース中にバズーカを乱射した事があったのだという。
彼に言わせると「サーキットは戦場」である事を実証しただけなのだ！

雷に対して、バズーカを発射する浦風！！

爆炎の中、走馬灯が走る。
このセリフ回しは正に初期島本！

そんな彼を救ったのはヒロイン・若葉の弓だった。
友人たちがバイク軍団で現れ、次々と浦風の仲間たちを撃退する！！

何の武器も持たない雷が背後から迫ってくる。
「サーキットで武器を使っちゃいけないのだろーか…」と、浦風は今さらながら正攻法で戦う事を宣言する！

そんな本気の勝負の中、

唐突に脱線するナレーション（笑）。
こういうところでも初期島本を感じさせてくれました。

いきなりラインを変える雷！

決着は意外なところで着くのでした（笑）。

「オレはサーキットに戻るぜ。」
「あそこには…犬のフンはないからな。」

全ての決着が着き抱き合うふたり。
しかし、レースで使ったバイクは友人のＶＴの為、修理費に追われる事になるのだった…。

という作品ですがどうでしょうか？
ギャグあり感動ありの作品なのですが、ところどころに島本節を感じさせています。
その後、コミックコンプで「刑事剣士Ｘカリバー」の連載を始める訳ですが、それ以外の作品は現在読む事が出来ない様です。
作者の藤原（現：富士原）昌幸氏は、現在ではスーパーロボット関係のデザインで有名だそうで、完全なオリジナル作品はあまり描いていない様なのがちょっと残念なところです。
機会があれば、別の作品も紹介したい作家さんですね。
ウィキにも情報ないですし（苦笑）。

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