「アオイホノオ」～ヤングラブ万才！動き出した「さよなら三角」と叩きつぶす男！！

ゲッサンにて連載中の島本和彦「アオイホノオ」通算３７回目です。

「銀河鉄道９９９」の続編の予告に歓喜したり、リアルな大友克洋作品は受け入れられないなど１９８１年になっても相変わらずの焔燃。
そんな中、矢野健太郎の同人誌を深読みしてさらにダメージを受けてしまう！
庵野たちが岡田斗司夫に会いに行こうとする一方、下宿で電話番をするしかない焔燃。
だが、気持ちを入れ替えて真っ先に取った電話はかつて持ち込みをしたＳＡ社の編集者からのものだったのだ！

まさかの展開にテンションが上がりまくる焔！
漫画を描いているのかと聞かれればＮＯと言う訳には行きません。
かくしてありもしない原稿の話を作り上げてしまった焔燃。
このところ考えていた「学園漫画」がいかにも完成間近であるかの様に語り出したのです！！

「面白そうじゃん…！」
「すぐに読みたいなぁ！」
まさかの好印象に逆に困った事になってしまった焔。
しかし、ここであるフリを続けなければせっかくのチャンスがフイになりかねません。
そんな焔が考えたのが「あと１ページ」作戦。
１ページに１ヶ月くらいかかることだってあると言う事で、ここから１ヶ月時間を稼ごうと考えた様なのだが…。

あと１・２ページと言っておいて本当に１ヶ月も引っ張ったら、さすがに相手もだまされたと思うんじゃないの？（笑）

受話器を置き、感激に浸る焔。
自分の事をあの人は忘れてはいなかった。
あの人の頭の中には自分という存在があれからずっと消えずにあった！
「ということは、つまり俺が…ＳＡ社に、いたのと同じ！！」
「俺は…知らないうちに、すでにもう…プロの世界にいたのだ！！」自分で思い浮かべた言葉に酔う焔。
つーか、何も達成してないのに盛り上がる様は「ハヤテのごとく！」のナギ様レベルじゃないの？（笑）

さっそくトンコさんに自慢話をする焔。
描いてないのにでまかせを言っていると思ったものの、「頭の中で描いていた」なんてかっこいい解釈をしてくれるトンコさん。
そんな２人でキックオフごっこの様な状態になり、前向きな気持ちになる焔だったのだが…。

買って来た少年サンデー正月（４・５）合併号を開いた瞬間、そんな幸せな気持ちが一変で吹き飛んでしまったのだ！

「この新人漫画家の…週刊連載がついに！！」
「こいつにだけは…離されたくないサンデー系新人漫画家！！」
原秀則出現！！
８０年代のサンデーのラブコメブームの一角を担った原秀則。
その初の週刊連載「さよなら三角」がついに始まったのです！

「さよなら三角」は当時りアルタイムで買っていたのですが、読みやすいと思う一方で暖かい気持ちにさせる作品でした。
丁度自分の中でアッサリした優しい絵柄の青春ものがマイブームだった頃で、チャンピオン小山田いく「すくらっぷブック」やジャンプならみやたけし「ブンの青シュン！」にしびれまくったりしていたんですよね。
まあ、そんな作品と「さよなら三角」が同じかと言えばまた違うのですが、冬場にこたつにもぐって何冊か読んでいるといい夢が見られる様なイメージが当時の自分にはあったのを思い出します。
そんな「さよなら三角」は少年サンデーコミックス全１７巻で、当時はＴＶドラマにもなったりしました。

そんなサンデーで大ヒットした「さよなら三角」。
だが、我らが焔燃の評価がまたスゴイ！
①絵が見やすい
②ひとりよがりなセリフがない
③だから難しくない
④スッキリとした読後感
⑤新人によくある偉そうな毒みたいなものも感じない
⑥マイナスポイントはないが内容も無い
⑦だから勉強にならない
思い切りほめた上で突き落とす焔（笑）。
まあ⑦なんて漫画を描いている人以外には何の意味もないんですけどね。

そんな持論を大阪弁を使うようになって来た津田さんに話す焔燃。
しかもこれまでの原作品はファイルしているのだと言う。
つーか、勉強にならないのにファイルしているって、それもう普通に作品のファンなんじゃないのか？（笑）

焔が崇拝する高橋留美子と同じく増刊サンデーで何回か描いた後に週刊に抜擢された原秀則。
その予想以上のハイペースに愕然となる焔！
しかもタイトルが「さよなら三角」！？
「うまく心にひっかかって気になるいいタイトルを…」
「やられた！うまくもっていかれた！」
一見漫画に内容がなくても「実は深く考えているんだよ」的に読者をリードする思わせっぷりに完全ダウンの焔！
そんな原秀則作品のここまでのタイトルは…。
①「春よ恋」
②「雨やどり」
③「すべりこみセーフ！」
④「ねぼけまなこで恋したら？」
⑤「シェイプアップ・ラブ」
⑥「冬色のラブポエム」
これらのタイトルの上手さに打ちひしがれる焔なのだが…。

実はこれらのタイトルは原秀則オフィシャルブログによると担当のＯＫ山氏が考えたんだとか。
（原先生のブログに島本先生もコメントしているのがまたちょっと面白いです。）

そんな「さよなら三角」第１話を読む焔。
一コマでも見逃すまいと、真剣な表情で作品を追う焔だったのだが…。
「やっやはり…新人なのに無駄ゴマの連発！！」
「これといった内容がやはりない！！！」
何やらとんでもない結論を出して来た焔。
というより、今回はいままでになく苦言が多いような気がするんだが（笑）。

そんな内容がない作品に人気作になる予感を感じる焔。
「なんとかしないと！」
なんとかって…何をだ！？（笑）

「小学館め…原秀則なんかを週刊にもってきやがって…叩きつぶすしかない！」
「こいつが大きくなる前になんとかしないと！！」
頼まれもしないのにＳＡ社の刺客きどりの焔燃。
どうやって叩き潰すつもりか知りませんが、デビュー後に初めて会った時、挑戦状でも叩きつけるのかな？（笑）
ちなみに来月も原先生ネタがあるそうなので「さよなら三角」以来作品を集めている者としては嬉しい限りです。

デビュー作の「春よ恋」については以前レビューした事があります。
そこで今回も古いネタを出そうかと思い、こんなのをちょっと出してみました。

当時のサンデーのとじ込み付録になっていた「天気予報カード」です。
天気によって車の色が変わるのですが、これをスキャンした時雨が降っていた為車の色がピンクっぽくなってしまいました。
この中でハンドルを握っているのが「さよなら三角」のヒロイン星野明日香。
その隣にいるのは「タッチ」の南ちゃんで　、その他は当時のサンデー人気作のヒロインです。
で、当時一番人気だった「うる星やつら」が入っていないのですが、これとは別の付録で「ラムちゃんの天気予報カード」というのがあったのです。
まあ、上の方にいるペンギンがさりげなく「うる星」をアピールしているんですがね。
というより、他の作品のキャラを今の読者が分かるかな？
こういうのを見ると、時間の流れを痛烈に感じてしまいますね。

「さよなら三角」ネタで、こんなのもあります。
小学館から８４年に出た「めざせ！！まんが家」では当時の連載作品の出来上がる過程が紹介されているのです。
まあ、一番のメインは「うる星やつら」のネームから原稿が完成するまでを紹介したページで、ネームなのに美しいのに驚いたりしたのですが、原先生のページではベタの塗り方についてレクチャーしていました。
この本は一応まんがの描き方講座ではあるのですが、サンデー作家オールスターが出て原稿を描いていくのを紹介しており、そんなのを見るとむしろファンブックの様な気もしないではないです（笑）。

ちなみにここで使われたのはコミックス１６巻。
話も終盤で大学受験についての会話が展開されています。
まあ、これを見ても分かるのですが、１巻の頃に比べるとかなり絵のタッチが変わっているんですよね。
新人作家には多い事ですけど、今でこそベテラン作家となった原秀則のルーツに触れる意味からも知らない人には「さよなら三角」は読んでもらいたいですね。

それにしても…今にして思えば主人公がサッカー部のキャプテンでゴールキーパー、それなのに美術の道に進むというのはかなり珍しい気がするなあ～（笑）

公式サイト：俺は燃えてなどいない！～漫画家島本かず彦のブログ～

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ゲッサン 2011年 06月号 [雑誌]

◎注目の島本Ｇガンついに第４巻リリース！

超級！　機動武闘伝Ｇガンダム　（４） (角川コミックス・エース 16-11) 島本　和彦

◎「無謀キャプテン」最新作も加えた完全版がついにリリース！

無謀キャプテン 1 (リュウコミックス)

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◎真の最終回を収録！

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◎原秀則の原点！

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